お薦めの理由
フィロソフィを日本語に訳せば『哲学』となる。
人はどんな職業・役職に就こうが、最終的には哲学が大事なのではないか。そのような発想からこれを会社経営に取り入れ、全社員のみんなが心得的なものとして共有していこうというのが、この京セラフィロソフィであるという。元々は、著者であられる稲盛先生(京セラ、KDDIの創業者、現・日本航空名誉会長)が、経営のありかたについて話された講話記録をまとめたものである。その後、京都に本社を置く京セラという会社の社内教材になり、そして広く一般公開したのが本書となる。
人としてどうあるべきなのか?
それは、昔からよく親が子供に言い聞かせてきたような内容であり、ごくごく当たり前の、人としてどうあるべきかという基本的なことである。
本書では、会社の仕事においても、このことを常に意識することが重要だと述べている。冒頭から8割はこういった哲学的な内容で占められていて、残りの2割が、経営寄りの内容となっている。
従業員が常日頃意識しておく心得的なものであり、実のところはこうなんだとストレートに言いたいところを、会社内でみなが共有できるような言い回しや考え方に落とし込んである。結果としてそれは、私が鑑定時によく使う表現にかなり近いものとなっている。
ところどころで精神世界(形而上学・宗教)的な記述が見受けられる。社会人として現実世界に根付いた人生を送り生活を営んでいる方からすれば、そのような記述は非常に抵抗感を感じることだろう。そのような方からすれば、本書の内容はうわべだけの理解にもなりやすい。
歴史をさかのぼれば、占いと哲学は同根である。つまり、本書の内容を心の奥深い部分で理解できたなら、占いも理解できるということである。また、その逆も真であり、占い屋ならここに書かれていることは理解できている必要がある。もしそうでない場合は、単に社会経験不足である。これが占い屋に人生経験が必須な理由である。
だから、経営者や役員クラスの方々に、占いにご理解ある方が多いというのも当然といえば当然である。
リアルな人生で一番大事なのは、実は哲学なんだと、この本は言っているように感じられる良書となっている。
本書の文体は小難しくなく、わかりやすく読みやすく書かれている。が、実のところ、それは見た目の話であって、この本の内容を完全に理解できるには相当な精神性の高さが必要であり、また、そうであってほしいという著者の気持ちがこの本には込められている。
本書のキーワード
- 常に『人として何が正しいか』を考える
- 人生で大事なのは『哲学』
- 少しストイックで、少し生真面目な生き方
- 人間性を高め、人格を磨く
- 技術よりも心(考え方)
- 心を高める
- 感謝の気持ちを持つ
- 真面目に一生懸命に努める(精進)
- 趣味とは、本業に打ち込めない場合に代償として求めるもの
- 人格とは、本業に打ち込むことによって身につくもの(人格は自分自身で作り上げるもの)
- リーダーに必要なものは人格(常に深く物事を考える重厚な性格)
- 嫌わることを恐れるあまり、そのことを指摘せず、和を保とうとするのは間違い
- 自分を犠牲にして物事を考える(利他の心、その心が行きつく先は悟りの境地、それが人生の目標)
- 物事を究める方法(完全主義・真面目に一生懸命・地味に努力)
- 常に意識して物事を考える(完成が見えてくるまで考え抜く)
- 熱意と能力以上に考え方が大事
- それぞれの人の力の方向(ベクトル)を合わせる(ベクトルが合うまで話し込む)
- 値決めは税引前利益で10パーセント
- 不良資産は即処分する(当座買いを原則とする)
- 意識が未来を創る(能力は絶対的なものではなく意識により変わる)
- 常に原価を意識する
- 良いものにはしかるべき品格がある
- 調和の感覚を大事にする
- 複雑な現象をシンプルに捉えられる直感力が大事
読みやすさ
実用性 科学度 スピリチャル度
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